クロスロード


私が茫然としている間に翠君はお姉さんから部屋のカードキーを渡されていた。

満面の笑顔でお姉さんは去っていき、広い廊下に残された私達。


……あの、彰宏さん……これって……


「ね、ねえ。ここ……どういうタイプのお部屋?」


ヒヤリと垂れる冷や汗。

脳裏に浮かぶ彰宏さんの笑顔。

翠君に関してはいつもの無表情で



「スイートルーム」



と、短く答えてくれた。


……って、やっぱり!!


ど、どうりでこんな間隔が空いてるわけだよ。

ていうか高校生がスイートルームっていいの?こういうとこってセレブが泊まるんじゃないの!?


でも、ちゃんと考えれば麻生家もセレブだよね。

翠君と私はまさに天と地の差、だ。



「これ」

「え?」

「カードキー」



ずい、と渡されたゴールドのカード。

最近のホテルはカードで開けるんだから凄いよね……と全然関係ないことまで浮かんでくる始末。



「え、いいよいいよ。翠君開けて?」

「そうじゃなくて。俺向こうの部屋だから」



……うん?

む、向こうの部屋って?


ポカンとしている私に翠君は溜め息を吐いた。