ってこんなことはどうでもいいんだよ。
問題はこれから。
ホテルに泊まるってことは、一晩翠君と過ごすってこと。
そ、そんなの無理。絶対無理。
婚約してるとはいえ、一晩一緒にいたことなんてないに等しい。
そもそもろくに会話すらできないのにずっと一緒なんて無理だよ!!
「……っ、」
タクシーはどんどん市街地に近づいて行く。
同時に、暗闇に広がる人工的に作られた明かり。
夜を待っていたかのように怪しく光るネオンが視界に入ってきた時、思いっきり顔を背けてしまった。
だ、だめだめだめ。変なこと考えちゃだめ。
泊まるって言っても、寝るだけなんだから。
……だってそうでしょ?
婚約してから3ヶ月経つのに、何もない。
生徒会の資料室も、翠君の部屋のことも
アクションを起こすのは全部私から。
イコール、翠君は私のか、身体には興味がないんだ。
触れたい、とかそういうことは思わないんだろうな――……

