……って、軽やかに返事しちゃったけど
昔のように3人でここに来るのはちょっと難しいかもしれない。
絶対沈黙だらけになっちゃうと思う。
でも3人でここに来たい。
この10年間、私達はバラバラになっていたけど
ちょっとずつでいいから、亀裂を直していけたらいいな。
おばさんの笑顔に見送られながら豪邸を抜けた。
時刻は20時近い。家の中にいたから分からなかったけど、もう外は暗くなっていた。
「えっと、じゃあ……バス停行こっか」
峰さん家から3分ほど歩いたところに行きも利用したバス停がある。
なんとか道も覚えたし、この時間帯なら本数も多いはずだ。
翠君は歩くの嫌いみたいだけど……3分くらい我慢してもらおう。
――が、そんな私の思考はあっけなく破壊された。
「いい。タクシー呼ぶから」
「っえ、あ、でも駅までだよ?バスで10分くらいだし……お金勿体ないんじゃないかな」
「駅には行かない」
……え?

