クロスロード


いや、そうは言っても麻生家の親戚。

『大した物じゃない』、イコール、私のような庶民にとっては大した物!

潔く確定する貧富の方程式。


「開けてみて?」とニッコリ笑うおばさん。

翠君に視線を向けると、「開ければ」と、これまた短い返事。


じゃ、じゃあ私が開けていいのかな。

震える指でリボンを解いて包装しを外し、ゆっくり箱の蓋を開ける。


な、何くれたんだろう……

大きな期待を背負い、口元を緩ませながら中身を見ると――、



「……え、?」



入っていたのは服。

でも、異常に小さい。私や翠君が着るのは絶対無理。


と、なるとこれは……



「男の子でも女の子でもいいように黄色にしてみたのよねえ」


「……あ、の」


「翠君と柚ちゃんの子なら絶対可愛いわねって、いつも話してるのよー!」



ちょ、ちょっと待って。

婚約祝いって分からなくもないんだけど、……でも!



私達まだ17歳で高校生なのにもうそんなことまで!?


むむむむ無理っ!そ、それに、妊娠する心配もないっていうか……



ヒヤリと背中を伝う汗。

ぐるぐる眩暈がする私とは対象に、翠君は黙って箱の中身を見ていた。