『春民暁を覚えず』とはよく聞く漢詩だけど、本当にそうだと思う。

独自の温かい気候が身体を包み込み、お昼を食べた私を眠りの世界へ誘導していく。


なんかポカポカしてきたなあ……


だんだん重たくなる瞼。温まってくる身体。

こくん、と項垂れた瞬間――、


「柚(ゆず)!次あたし達の番だよ!」


キーンと耳に響く真菜(まな)の声が、意識を飛ばそうとしていた私を阻止する。


「……うん、どうしたの?」

「どうしたの、じゃなくて今体育の時間なんだけど」


視界に映る真菜の体操着姿にそういえば体育だった……と今更思い出す。


そっか。そういえば

今日は体育館でバドミントンをやってて、コートの数が少ないから私達は休憩してたんだった。

いつの間にか試合は終了している。



……あれ、私得点係だったような気がするんだけど……