ここ、所長室の扉がバァン、と激しい音を立てて開いた。
すぐさまフランツとピーターは視線を扉に向けた。
「ピーター!」
「お、お姉ちゃん!」
飛び込むように入ってきたのはウェンディだ。続いてアリス達がやって来る。
研究所に侵入してすぐにアリス達が困っていた左右に分かれていた廊下だけど――。
廊下は同じ場所に繋がっていて、左右どっちから行っても結局、所長室には辿り着けたんだ。(馬鹿な話だけどね)
「ピーター、今助けるわ」
縛られて身動きが取れないピーターのもとにウェンディが駆けよる。
しかしフランツがピーターを抱えあげてしまったんだ。
「うわーん! お姉ちゃん!」
「おやおや、ピーターくんのお姉さんと愉快な仲間たちですか」
「……愉快な仲間たち?」
アリスは苦笑を隠せなかった。

![[短編] 昨日の僕は生きていた。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.781/img/book/genre1.png)