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「すみませーん」
4人は堂々と研究所の入り口の前にいた。カールの作戦を実行しようってわけ。
研究員が揃って着ている白衣すらないのに、研究員のフリなんて無謀だと思うけどね。
カールの声に反応してすぐに扉の向こうから声が返ってきた。
「誰だ?」
「僕たち、新米の研究員なんですけど、開けてもらえます?」
明らかに怪しげな嘘だとアリスは一人毒づいた。絶対バレちゃうわ、なんて思ってさ。
しかし案外簡単に上手くいったんだ。
「新人の奴か。入れ」
扉が開いた。こんな事で容易く研究所に侵入できるなんて。
この研究所の行く末が不安になってしまうアリスだったよ。
扉のすぐ向こうに研究員がいた。
イヴァンとカールは宝石や飾りが施されたやたらと派手なコートを脱いでいたんで、貴族だとは気付かれなかった。
「まだ白衣をもらってないの。責任者の方は?」
「フランツ所長なら、所長室だ」
分かったわ、とアリスは快く返事をした。
研究員はまだ幼いアリスが新人研究員だと名乗っている事に疑問を抱いていたが――幸い、深くは考えなかったんだ。

![[短編] 昨日の僕は生きていた。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.781/img/book/genre1.png)