薔薇とアリスと2人の王子



 カールがいつもの皮肉そうな笑みを浮かべながら言う。

「僕もそう呼んだほうがいいんですかね、“お兄ちゃん”」
「やめろ気色悪い」

 そんなことを言ってるうちに、激しい音がしたんで一斉に振り向くと――それは扉が乱暴に開け放たれた音だったんだ。

「うわぁ! お姉ちゃん助けて!」

 雪崩れ込むように家に入ってきたのは研究員だった。
 ついにピーターを捕まえに来てしまったんだ!
 研究員は揃いの白衣を纏い、10人ほどだった。そのうちの1人、年配の研究員がピーターに視線を向けつつ言う。

「やっと見つけた……さぁボク、おじさん達と行くんだ」

 言いながら彼らはピーターを取り囲んでしまったよ。