カールがいつもの皮肉そうな笑みを浮かべながら言う。
「僕もそう呼んだほうがいいんですかね、“お兄ちゃん”」
「やめろ気色悪い」
そんなことを言ってるうちに、激しい音がしたんで一斉に振り向くと――それは扉が乱暴に開け放たれた音だったんだ。
「うわぁ! お姉ちゃん助けて!」
雪崩れ込むように家に入ってきたのは研究員だった。
ついにピーターを捕まえに来てしまったんだ!
研究員は揃いの白衣を纏い、10人ほどだった。そのうちの1人、年配の研究員がピーターに視線を向けつつ言う。
「やっと見つけた……さぁボク、おじさん達と行くんだ」
言いながら彼らはピーターを取り囲んでしまったよ。

![[短編] 昨日の僕は生きていた。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.778/img/book/genre1.png)