イヴァンの非情な言葉に、それまで落ち着いていたウェンディの様子が変わってさ。
テーブルの上で両手を握り締めイヴァンを睨みつける。
「そんな事言うなら出てってください! だから貴族は嫌なんですよ!」
「ごめんなさい、謝るから怒らないでウェンディ。……って何で私が謝ってんのよ? もう嫌だわ」
アリスが項垂れていると、突然家の扉が勢いよく開いた。
粗末な扉だったからね。壊れるかと思ったよ。
「うわーん! お姉ちゃん!」
飛び込んできたのはピーターだった。
泣きながらウェンディに抱き付いたよ。
「どうしたの?」
「研究員の人が来るよー! どうしよう!」
アリスが驚いて椅子から立ち上がった。
「何ですって?」

![[短編] 昨日の僕は生きていた。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.778/img/book/genre1.png)