薔薇とアリスと2人の王子


 イヴァンの非情な言葉に、それまで落ち着いていたウェンディの様子が変わってさ。
 テーブルの上で両手を握り締めイヴァンを睨みつける。

「そんな事言うなら出てってください! だから貴族は嫌なんですよ!」
「ごめんなさい、謝るから怒らないでウェンディ。……って何で私が謝ってんのよ? もう嫌だわ」

 アリスが項垂れていると、突然家の扉が勢いよく開いた。
 粗末な扉だったからね。壊れるかと思ったよ。

「うわーん! お姉ちゃん!」

 飛び込んできたのはピーターだった。
 泣きながらウェンディに抱き付いたよ。

「どうしたの?」
「研究員の人が来るよー! どうしよう!」

 アリスが驚いて椅子から立ち上がった。

「何ですって?」