薔薇とアリスと2人の王子


 3人が座るテーブルの反対側にウェンディとピーターが座った。
 アリスはこれまでの旅を話したよ。ウェンディは興味深く相槌を打ちながらその話を聞いていた。

「まあ、遠い所からわざわざ……薔薇を枯らした魔女と、大切なものを探しに?」
「そうなの。ローライドって魔女知らない?」

 ウェンディは首を振る。

「ごめんなさい、知りませんわ。この国の魔女はだいぶ前に処刑されましたし…」

 ピーターはウェンディの隣で、少ないパンを頬張っていた。
 並んだ2人の姉弟を見ると、栗色の髪に青色の瞳、たれ気味の目じりもよく似ていた。

 ここでもやはり手がかりが見つからず3人は肩を落とす。

「ロサ・アンジェラも更に枯れてきたし、そろそろ情報の一つでも欲しいところですね」

 と、カールが言う。隣のイヴァンが眉を寄せて弟を睨んだ。

「他人事のように言うな」
「他人事です」

 きっぱりと言うカールに言い返せないのがイヴァンである。