薔薇とアリスと2人の王子



「お邪魔してます、お嬢さん!」

 カールが満面の笑みで言った。
 少女はイヴァンとカールの宝石だらけの服を見て、ひどく戸惑っていたよ。そんな少女にピーターは駆け寄っていった。

「お姉ちゃん。この人たち、無罪なのに兵から追われてたから助けてあげたんだ!」
「え? そうなの?」

 おさげの少女はピーターの姉だったんだ。

「うん。金髪の子がアリスで、赤毛の偉そうなのがイヴァンで、黒髪のずる賢いのがカールだって!」
「そのまま言うな、全く最近のガキは!」

 イヴァンがいらいらし始めたんで、アリスがそれを無視して少女に言う。

「ごめんなさい。ちょっと匿ってもらっているの。あなたは?」
「私はウェンディ・バッハマン。両親が仕事で僻地に住んでるので、今はピーターと2人暮らしです」

 よろしくお願いします、と愛想良く笑顔を浮かべながらウェンディはテーブルにパンを置いていた。