瞳を伏せたイヴァンが恐る恐るシャルロッテに顔を近づけると、たまらずカールが吹き出してしまってさ。
慌ててアリスがカールを叩いて、カールは大人しくなった。
イヴァンがシャルロッテに顔を近付ける。
さすがに初めてのキスというわけでは無かったけどさ。好きでもない女性とキスするなんて女嫌いの彼には拷問に近い。
意を決してシャルロッテと軽く唇を合わせた。(本当に軽いものだよ)
その途端に彼はすぐさま立ち上がってね。フフンと得意げだった。
「どうだ、このくらい朝飯前だ」
「どうだって威張ることじゃないですよ。シャルロッテの様子は……」
動かないままのシャルロッテの瞼。
そのまま一同でシャルロッテを凝視していると――たまげた! なんと彼女が突然パッチリと目を開いたんだ。

![[短編] 昨日の僕は生きていた。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre1.png)