薔薇とアリスと2人の王子



 瞳を伏せたイヴァンが恐る恐るシャルロッテに顔を近づけると、たまらずカールが吹き出してしまってさ。
 慌ててアリスがカールを叩いて、カールは大人しくなった。
 
 イヴァンがシャルロッテに顔を近付ける。
 さすがに初めてのキスというわけでは無かったけどさ。好きでもない女性とキスするなんて女嫌いの彼には拷問に近い。

 意を決してシャルロッテと軽く唇を合わせた。(本当に軽いものだよ)
 その途端に彼はすぐさま立ち上がってね。フフンと得意げだった。

「どうだ、このくらい朝飯前だ」
「どうだって威張ることじゃないですよ。シャルロッテの様子は……」

 動かないままのシャルロッテの瞼。
 そのまま一同でシャルロッテを凝視していると――たまげた! なんと彼女が突然パッチリと目を開いたんだ。