口に林檎を含まれたらシャルロッテが危ない。
3人は声を抑えるのも忘れて、互いに言い合った。
「止めなきゃ! 王子!あんた行きなさい!」
「あの空気の中に行けというのか?」
「じゃあカール!」
「え~、兄さんが行った方が面白いんじゃないかな」
「もー! 頼りにならないわねっ、私が行くっ!」
最初から自分が行けば良かった! と一歩駆け出すアリス。
しかし遅かったんだ。
アリスが小屋の影から飛び出したとき、ちょうどシャルロッテが林檎をかじった。
「ああ、シャルロッテ!」
美しい少女は弧を描きながら髪を散らせ、その場に仰向けに倒れた。
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ハンスEが言った。
「昏睡状態です。しかしこのままだと危ないと思います……」
倒れたシャルロッテをアリス達で小屋の中に運び、ハンス達と少女を囲っていた。
ハンス(A)は相当ショックだったのか、部屋から出てこない。
「助かる方法はないのかしら?」
「林檎の毒は、愛する王子様のキスで治るって聞きました」
ハンスBが言った言葉に、3人は顔を見合わせる。
シャルロッテの愛する人って、つまりハンスAだ。
「私たち7人、シャルロッテとハンスAの仲は知っていました。ハンスAがシャルロッテの王子様なのです」
これはハンスGだ。

![[短編] 昨日の僕は生きていた。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre1.png)