薔薇とアリスと2人の王子


 そんなわけで、アリス達は3人で留守番をすることになったんだ。
 留守番と言っても何かするわけでもなく、とりあえずキッチンとテーブルのある部屋で小人達の帰りを待つ。
 各々ダラダラしてるとき、突然扉を叩く音がした。
 小人とシャルロッテ達が帰ってくるには早いし、客かしら、とアリスは扉を開けた。

 そこにいたのは、いかにも怪しいマント姿の老婆。

「もし……この小屋に、美しい娘はいませんか」
「私のこと?」
「………」
「…冗談よ! シャルロッテなら今はいないわ!」

 老婆は手にカゴを抱えていてね。その中には林檎がみっつ。
 その中のひとつを老婆が差し出してきたんで、アリスは訝しげに見つめた。

「それならこの、林檎を…シャルロッテに…」
「彼女に?」
「頼まれたのです……」

 怪しいけど、頼まれたと言われたら受け取らないわけにはいかない。
 アリスは老婆から林檎をひとつ、受け取った。