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翌朝。
おんなじ部屋でアリス達3人は目を覚ました。
アリスは一応女だし兄弟2人と同じ部屋は嫌だったんだけど、空いている部屋がこの一部屋しかなかったんだ。
「……いま何時?」
カールが顔を枕に埋めながらアリスに聞いた。酷く掠れた声でね。
アリスはしっかり起きて、鏡の前で髪をとかしていたよ。
「5時よ」
「5時って……まだ夜だと思うよ」
ようやく覚醒したカールがベッドから体を起こした。
文句を言いながらも起床する彼は二度寝が出来ないタイプなんだ。
いちど起きたらもう活動を始めるしか無い。
カールもアリスと同じ鏡を覗き込んで、長い黒髪が絡まっていたのを直す。
「何言ってるの! 起床時間は5時って決めたじゃない」
「誰が、いつ決めたんだい?」
「私よ。寝る前に決めさせてもらったわ」
次からは勘弁してよ、とあくびを噛み締めるカール。
王宮でダラダラした堕落生活を送っていた温室育ちの彼らに、こんな早朝の早起きは辛かったんだね。
“彼ら”といえば、兄のイヴァンはまだぐっすりと夢の中だった。

![[短編] 昨日の僕は生きていた。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.778/img/book/genre1.png)