それと同時に小人も家のなかを振り向いてね。
「シャルロッテ! この人達が泊めてほしいって言うんだけど」
「あらぁ、そうなの~?」
ランプに照らされて姿を現したのは目映いほどに輝く可憐な少女でさ。
背は小さいしとても小柄なんで、アリスより年下だと思うよ。
赤い唇に黒壇のような髪、雪のような肌――幼いながらも漂う妖艶さ。一国の王女でもなかなか見られない稀に見る美貌を持つ少女だった。
「ワォ、凄い美人!」
カールが小声で隣の兄をつつきながら言った。
「そうか? 顔が濃い。酔いそうだ」
「兄さん……。自分の容姿は過剰に絶賛するくせに、他人に対しての美意識は皆無ですね」
呆れた、と呟くカール。
そんな兄弟の様子に少女はクスクスと笑みを溢していた。
シャルロッテ、というのが少女の名らしい。彼女は3人を見渡して、鈴を転がしたような軽やかで耳に優しい声で言った。
「宿を探しているのですって? 構いませんよ~、部屋なら空いてますから~」
「本当? ならお邪魔するわ」
やや軸のずれたシャルロッテの雰囲気に動揺させられながらも、アリスは小屋の中に足を伸ばした。

![[短編] 昨日の僕は生きていた。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.777/img/book/genre1.png)