薔薇とアリスと2人の王子


「とんだ災難だな」

 イヴァンがふてぶてしく椅子に腰かけると、野獣に言った。

「今更何だ?」
「……あの女も、しばらくしたら“大切なもの”に気付くだろう」

 脈拍が感じられない彼の言葉に野獣は首をかしげたけど、何も言わなかった。

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 一方、クララの部屋へやって来たアリスは驚いた。部屋に彼女がいないんだからね。
 仕方なしに、その場にいたカールに聞いてみることにしたよ。

「クララさんはどこ?」

 彼は部屋のベッドで呑気に読書なんてしててさ。アリスの言葉に寝転んでいた身体を起こす。

「野獣を殺しにいったよ」
「は?」
「ついさっき」

 アリスは飛び上がって、大急ぎで2階へと駆けていった。後ろからカールもついて来る。
 事態は大変な事になりそうだ。