薔薇とアリスと2人の王子


 頭を抱えだした野獣に、さすがにアリスも他人事では無くなってきてね。

「大丈夫、方法を考えましょう。私達も今晩考えてみるから」
「カールなら何か知ってるかもしれないな」
「そうね。あの人、無駄に頭いいもの。だから野獣さんまだ諦めないで!」

 まだ情けなく眉を下げる野獣に、アリスが元気づけて言ってやった。
 野獣はしばらくだんまりだったけど、一言“分かった”とだけ告げると、哀愁を残したまま自室に戻っていったんだ。

「あんな怖い姿でも、なんだか接しているうちに、愛嬌が感じられるわね」
「そうか?」

 2人は疲れきった身体を引きずりながら、1階の部屋へと戻っていった。


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「野獣を助ける方法? 僕が知ってるわけないですよ」

 これが、事情を話したあとのカールの一言めだ。
 眉をひそめるしかめっ面は、なんだか兄に似ている。

「だいたい兄さん達、野獣を追っていったかと思えば……協力するなんて。洗脳されちゃったんですか」
「あなたも野獣と話せば、彼の本当の姿が分かるわよ」
「僕はクララの味方だからね♪」

 カールはすっかり美しいクララの肩を持っていて、野獣なんて眼中に無かったんだ。