彼の青葉色の目がいつもより爛々といらずらっぽく光っている。
「ある日、私の家に来る予定だったベルホルトがいつまで経っても来なくて………様子を見に家を出たら、」
そこで言葉を切ると、ゆっくり深呼吸する。クララは続けた。
「すぐ近くの道ばたで、彼のボロボロの衣服があり、彼……ベルホルトは、既に野獣に食べられていた後でした」
「うわぁ、野蛮ですね」
言いながらもカールは笑顔だ。
「復讐するために私はここへ来たんです。きっかけとなったパパには感謝してるわ」
へえ、とカールが関心があるんだか分からない返事を返した。
その時だよ。扉の向こうからけたたましい野獣の声が聞こえたのは。
「クララ! 遅いが晩餐にするぞ、早く出てこい!」
こんな事をあの声に叫ばれて、誰が出ていくもんか。晩餐だなんて、逆に食べられそうだよ。
「あなたと食事なんて、絶対に嫌よ!」
クララは扉を隔てた向こうに気丈にもそう言ってやる。そうしたらまた、野獣の声だ。
「なんだと!? それならば、食事を摂らずに餓死するがいい!」
それで扉を隔てた言い争いは終わったんだ。

![[短編] 昨日の僕は生きていた。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.786/img/book/genre1.png)