薔薇とアリスと2人の王子

 野獣が何やら異常に動揺しながら2階にのぼっていったんで、アリスは気になって後をついていく事にしたんだ。

「どこへ行くんだ」

 と、イヴァン。

「野獣のとこよ。何か様子が変だったから」
「俺も行こう」

 アリスは少し驚いたけど、何も言わずに2人で階段に足をかける。
 イヴァンが自ら行動することなんて滅多にないんで、明日は雪かしら、とアリスは思った。
 すかさず今度はカールだ。

「僕1人ですか?」
「そうよ。クララさんに手出しちゃ駄目よ」
「はは……」

 乾いた笑いを溢しながらカールは2人を見送っていたよ(この後、彼がクララに必要以上につきまとっていたのは言うまでもない)。