対する俺の“ハチ”は、北村につけられた・・・・わけではなくて。

愛しの亜希先輩がつけてくれた、由緒正しいあだ名だ。


それまでは、北村に「ミジンコ」とか「ミクロマン」とか、そんな感じで呼ばれていたけど。

亜希先輩がつけてくれたあだ名だから“ハチ”でもちっとも嫌な気はせず、むしろ嬉しかった。

それをコイツは・・・・!!


「ハチって呼んでいいのは亜希先輩だけだ!お前が呼ぶな!」

「忠犬ハチ公・・・・ぷぷっ」

「バカにすんなよ!? ハチ公はすげー犬だ!俺は光栄なんだ!」

「ギャハハッ!ちょーウケる!」


くっそぉ〜!

ちょっと人よりデカいからってチビをバカにしやがって!!


「もういい!部活行くっ!」


いつまでも笑い転げる北村に心底呆れた俺は、ドスドスと教室をあとにし、体育館へ向かった。

本来なら北村に割いてやれる時間なんて1秒もないんだ。

あー、もったいない。

・・・・とか思っておきながら、つい絡んでしまう俺も俺だけど。




でも今は、とにかく亜希先輩だ!!