あの衝撃の出会いから早9ヶ月。

季節はすっかり変わり、冬休みも明けた1月某日───・・。


俺は今日も、愛しの亜希先輩が汗を流す体育館に一番乗りで部活の準備をしようとしていた。

女子バスケ部のマネージャーなんだからそれはしごく当たり前のこと、なんだけど・・・・。


「おいハチ、今日もそんなに急いでご主人様のトコってか? いい加減諦めろよ、何回フラレたら気が済むんだ?」


教室から飛び出すところに嫌らしくタイミングを合わせ、俺を引き止めるコイツにいつもつかまってしまう。

そして、それを無視できない俺。


「うるせー、デカラッキョ!お前に“ハチ”って呼ばれる筋合いはねー! バーカ!!」

「ハチのくせに生意気な!下からキャンキャン吠えてもお前がバカに見えるだけだぞ」

「なんだとぉー!」

「なんだよ!」


と、まぁ。

チビとノッポの言い争いが、放課後の教室で毎度繰り広げられる。

俺を見下ろしてくるのは、中学の頃からの腐れ縁・北村。

デカくて野球部で坊主だから、デカラッキョと俺が命名した。