今年のバレンタインは日曜日だ。

バスケ部の練習はほとんど休みがないため、俺は今日も学校に行くときと同じ時間に起きなきゃならなかった。

・・・・んだけど。


「大、起きなくていいの? 今日も部活なんでしょ?」

「んあ〜・・・・やっべ!」

「ほら見なさい。毎晩何してるか知らないけど、夜更かしばっかりするからよ。部活くらい勉強も真面目にやってもらいたいものね」

「母ちゃんっ、朝から小言は勘弁してくれよ!悪かったって」


と、まぁ。

時間になっても起きない俺の様子を見に来た母ちゃんに起こされ、ありがたい小言まで頂き・・・・。


「いってきます!」

「はいはい。気をつけて」


10分で家を出た。


最寄りのバス停まで走っていくとちょうどバスが来たところ。

上がった息を落ち着かせながら、一番後ろのど真ん中の席にスポーツバッグと並んで座った。


平日は通勤・通学でぎゅうぎゅう詰めになる車内も、週末はがらんと空いている。

この週末の2日間だけ、今座っている席が俺の指定席になるんだ。