「好きなヤツがいる、って言ったんだ。本当はそんなヤツいないんだけど、まぁそれが一番手っ取り早く諦めてもらえるかな〜って。てか俺、カッコよくね?」

「おぉ!傷つけずにフル方法か!さっすが伸吾、男だね〜」

「俺が伸吾だったら正直にに言ってたよ、デカくてつき合えませんって。伸吾は違うな〜」


周りの賛同に“だろ?”と自慢気に微笑む伸吾君。

思いもよらないところで知ることになった彼の本音は、私の失恋したての心の傷を必要以上にえぐる結果になった。

デカい女は対象外・・・・早い話が、そういうこと。


そうだったのかって納得したときには、私はもうこぼれる涙を我慢できなくなっていた。

楽しそうに笑い合う声を聞きながら、そっと家に帰って泣いた。










それ以来、私は自分より背の低い人を好きにならないように・・・・。

自分より背の低い人が私を好きになったりしないように・・・・。


───『好きな男の子のタイプは私より背の高い人』


周りにはそう言ってきたし、自分にもきつく言い聞かせてきた。