たちまち教室は下品な笑い声に包まれ、その中に私は確かに伸吾君の笑い声を聞いた。

かわいい? 優しい? そんなの嘘ばっかりじゃない。

伸吾君がかわいそう? だからって身長は縮まらないよ。


「っ・・・・」


私は、その場で泣かないようにするので精一杯だった。

怒りとか悲しみとか、いろんな感情がごちゃごちゃになって一気に押し寄せてきたけど、守りたかったちっぽけなプライド。

どんなに辛くても人前じゃ絶対に泣かない・・・・それだけはどうしても守りたかったんだ。


私がそうして耐えている間にも伸吾君たちの会話は続き───・・。


「実は俺さ、河原をフッたときに嘘ついちゃったんだ」


武勇伝でも語るかのような口調で伸吾君が口を開けば。


「なになに!?」

「伸吾、どーゆーこと!?」


周りの男の子たちも食い付く。

これって、ガールズトークならぬボーイズトーク・・・・ってところなのかもしれない。

女の子たちには知られない男の子たちだけの秘密の話・・・・そんな特別な雰囲気がそこにはあった。