息を切らせてベリルとセシエルはへたり込む。

「ああ、いいさ。お前はいつもそうなんだ……腹が立っているこっちがバカバカしい」

「おぬしにはユーモアが足りん」

 お前のはユーモアじゃなく悪ふざけだ……激しくそう言いたかったが、諦めてプイとそっぽを向いた。

「おぬしも知っておろう。王国を脅かしているドラゴンの話を」

「ああ」

 突如、現れたドラゴン──その炎は大地を焦がし破壊の限りを尽くしていた。

 何人もの兵士や戦士、騎士たちが立ち向かったが、誰1人還ってくる者はいなかった。

 国王は嘆き、討伐隊の編成を計画する。剣や魔法、技に秀でた者を集めドラゴンを倒そうというのだ。

「おぬしなら十分、民の代表として活躍してくれる事だろう」

「……」

 ベリルは特命の紙を見つめてしばらく沈黙した。そして、

「少し、考えさせてくれ」

 言って長老の家を出る。