「そのドラゴンが、わたしたち森の民はかつては盟友だったって言ってました。それでアウルに力を授けるって……」

 サハナはそう言ってアウルを見つめる。

「ほう」

 ベリルは興味深げに話に聞き入った。

 かなりの戦力になりそうだ。ベリルは嬉しそうに口の端をつり上げた。

「まだ若いようだが、強い戦力として歓迎するよ」

「こっこちらこそ!」

 握手を交わしたあと人混みに紛れるベリルの後ろ姿を、アウルはしばらく見つめていた。

「あの人も強そうね」

 サハナがそう言うと、

「ああ……凄く、強そうだ」

 アウルは目を細めた。戦い慣れしていない事を見抜かれている。

 いくら力があっても、戦いというものに慣れていない事は致命的だ。

 もし、彼が自分に何か指示する事があればそれに従おう。アウルは心にそう決めた。