落ち着いた雰囲気を持つベリルに、アウルはぼそりと、

「俺たちの力って……ドラゴンに通じるのかな?」

 アウルの不安はもっともだろう。ベリルはそれに目を細める。

「どうだろうな。ヤツには無い我々の強みが、その鍵を握ると思うが」

「強み……?」
「そんなのあるんですか!?」
「おや、忘れているのかね?」

 ベリルはニコリと笑い、

「ヤツに無くて我々にあるもの。簡単なものだ。『協調』だよ」

「「!」」

 力を合わせ、共に何かを成し遂げる。

「それは、感情を持つ者でなければ出来ない事だ。そうして人間は発展してきた」

 敵は1匹。助け合いとは無縁だ。

「武器だけでも、魔法だけでも、ヤツには勝てはしない。だが、その二つが合わされば道はひらけよう」

 淡々と語る言葉の中に重みがある。アウルは改めて、ベリルの腰にある剣に目を向けた。

 この日のためにあつらえた剣だと窺える。なのに、しっくりと体の一部として馴染んでいるように見えた。

 新しい剣を体の一部とするために、どれほどその剣を手に持ち訓練してきたのだろうか……

 同じ剣士として、それがどんなにか大変だっただろうと思う。