「きれーなお姉さん探してくれるんじゃなかったのかよ……」

「何言ってんのよ！　出発は3日後なのよ。そんな事言ってられないでしょ」

　まだ幼さの残る顔立ちの青年は、隣にいる幼なじみの少女にぶーたれた。

　青年の名はアウル。19歳。茶色がかった黒髪と漆黒の瞳が印象的だ。

　少女の名はサハナ。15歳。艶やかな黒髪を後ろで束ね、美しい顔立ちをしている。

　この２人は『森の民』と呼ばれる民族で、剣術に優れている。

　ある意味、ベリルのいる『流浪の民』と通じる部分がある。

　違う点といえば、流れ戦士を主とする流浪の民と違い、彼らは主に傭兵を生業（なりわい）としている。

　魔法も駆使するが、やはり剣術を第一に置いている。

　最も異なる点は、その容姿にあるのかもしれない。

　森の民は、気を高めると髪と瞳が朱色に染まる。

　流浪の民にはそういう変化は無い。自然の中に力を見い出し、その力を受け流し利用する。