数週間後──魔法の習得も一区切り終え、ベリルは剣を鞘から抜いて構える。

「……」

 目を閉じて精神集中。

[……]

 ヴァラオムはそれを静かに見つめていた。ベリルはゆっくりと剣舞を舞う。

[ほう]

 なんと優雅で流れるような動きだ。ドラゴンはベリルの動きに目を奪われる。

 彼の体格からしてもう少し大きな剣でも良いと思うのだが、なるほど自分の体の一部とするならグラディウス程度の長さが一番なのかもしれない。

 剣舞を舞い終えたベリルは、剣を静かに鞘に仕舞った。

[なかなか良いものを見せてもらった]

 ヴァラオムは手を叩く。剣舞もまた、剣を操るうえで重要なものである。

 その動きから、ベリルがかなりの腕を持つ事が窺(うかが)えた。

[……]

「……」

 ヴァラオムとベリルそれぞれに、離れた場所でお互いの事を思い起こした。