[私を見て、何の反応も示さない奴は初めてだ]

「ドラゴンは何度か見た事がある」
[そんなにドラゴンを見ているのか?]

「アシッドドラゴンなら倒した事も」

 どうもドラゴンとは縁があるようでね。ベリルは淡々と語った。

 アシッドドラゴンとは、2mほどの緑色の体をしたウロコと翼の無い、毒や酸のブレス(息)を吐くドラゴンの事だ。

 ドラゴンの全てが強い訳ではない。屈強の戦士なら、倒せる程度のものも存在する。

 そういうものは大抵、知能が低く魔法も使えないのだが。

 白いドラゴンは、平然と応えるベリルをしばらく眺めた。

 いっそ半殺しにしてやれば、情けない顔が拝めるかな。なんて考える。

 しかし彼は、この目の前のドラゴンがそんな事をしないと解っているようだ。

[……負けたよ、お前には]

 ドラゴンは、大きく息を吐き出し諦めたように苦笑いを返した。