「まあ落ち着けよ。王都に到着だ」
「え?」

 セシエルは正面に目を向ける。小高い丘から、遠方に見える美しい城と城下町……

「半日で王都に入る」
「ひゃ~」

 王都は山々の間にある平原の窪地に造られている。

 馬で半日もかかるほどの距離から目に見える城と町並みは、遠くからでも素晴らしく輝いて見えた。

 それを眺めながら、ベリルたちは王都に近づく。

 門の前で馬を下りて城下町へ。

「どこに行くんだ?」
「城に近い広場に一端、集まるらしい」

「他の部族の奴らはもう来てるのかな」

「どうだろうか。我々の集落は辺境にあるのでね。そこより遠い者なら、まだいないだろう」

 特命に書かれている集合日時はまだ先だ。遠い部族の事を考慮しての指定なのだろう。

 ベリルたちはそれまで、宿を探す事にした。


第一部 完

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