「!」

 少女はベリルに気が付くと、満面の笑みを浮かべた。

「元気にしていたかね?」

 ベリルは優しく微笑む。少女はベリルに思い切り両手を伸ばし、抱っこしてくれとせがんだ。

 それに素直に従い、ベリルは少女を抱きかかえる。

「……」

 それを見ていた男の子は、無言でセシエルの腕からスルスルと降りるとベリルの足下にしがみついた。

「……」

 セシエルは少し寂しい気持ちになったが、子どもの目に感心した。

 一見、きつそうに感じられるベリルにこれほど懐(なつ)くとは……

 彼の心にある優しさを、この子たちは無意識に感じ取っているのだろう。