その理由は違えど、1人生き残った孤独を彼女も抱えていたのだ。

 しかし、前に進む力を持っている彼女がベリルに疑問の目を向けている。

「あんさんは、わしと違って初めからひとりぼっちや」

 仲間の記憶もなく、仲間と呼べる者すらいない。

「せやのに……」
「この世界で生まれた全てのもの」

 え……?

 言いかけたクラウンの言葉をさえぎり、ベリルは静かに応えた。

「皆、この世界で生まれた仲間ではないか。私は孤独などと思った事は無いよ」

 同じ世界で生まれたもの。流浪の民の教えは、確かに息づいている。

 目を丸くしていたクラウンは、もう1つ訊きたい事があった。

「もう1つ気になっとったんやけど。わしらの一族は、もう100年以上も前に死んどる。という事は、あんさんの中にはわしらの血は使われてへんって事か?」

 その問いかけに、少し苦い顔をしてクラウンを部屋の外にうながした。

 ドアを閉めて話を切り出す。