「すまないな。いくらだね?」
「ああ、金はええよ」

 わしが作りたくて作ったんや。

「お代はまた今度、なんか注文して」

 そのまま帰ろうとしたクラウンに、ベリルはポンとその手にマフィンの入った紙袋を乗せる。

「代金だ」
「……」

 それを見て、何故かクラウンは目を細めてベリルを見上げた。

「なんで……」
「ん?」

 微かに手が震える。

「なんであんさん、そんな風に笑えるんや?」

「!?」

 その言葉に、ドルメックは体が強ばる。

「わしは、ずっと前に仲間を流行病で失のうとる。ひとりぼっちや……けど、あんさんはそんなんとちゃう」

 クラウンの告白に、ドルメックは息を呑んだ。

 同じ境遇……