流浪の民の集落──

「?」

 ベリルの家の庭から何やら緩いプレッシャー。

 怪訝な表情を浮かべてカーティスという男がのぞき込む。

 ブラウンの髪に青い瞳。20代後半。身長は190cmほどだ。

 彼は、ベリルから預かったジェイドという人物と共にベリルの家にいた。

「!? ベリル?」
「!」

 そこにいたベリルに、思わず大きな声で駆け寄るカーティス。その声にジェイドも庭に出る。

「!」

 ベリルは彼にニコリと笑いかけた。

「そうか。その時が来たのだな」

 ベリルは黙って頷くと、手を差し出した。ジェイドはその手を掴む。

「! お、おいベリル」

「また戻るよ。今度はちゃんと集落の入り口からね」

「……」

 消えた先に、カーティスはポリポリと頭をかきながら溜息を漏らした。