「ま、一番怒ってるのはあいつだろうけどな」

 ドルメックの言葉にサレンスが、すいと横に移動する。

「!」

 そこにいたのはセシエル。セシエルは両手を腰にあててベリルを睨みつけた。

「お前を連れて帰らないと、俺が長老さまに怒られるんだぞ!」

「……すまない」
「とりあえず、もう戻る必要無いからな」

 ドルメックは言って、さらに付け加える。

「ホムンクルスは失敗してる。って記憶に塗り替えてやったよ」

 ついでに俺が、宝玉の民だって事もね。

ドルメックはウインクしてみせた。

「よくもやったな」

 ベリルは感心した。

「あんたのおかげさ。マジックアイテムが使えるようになったのは」

 前のままの俺だったら、あそこで飛び出して斬りつけていたかもしれない。

 冷静になる事も教わった。

「帰ろうベリル」

 セシエルはいつもの笑顔をベリルに向けた。