「!」

 しばらくニヤけてベリルを見ていた国王や側近、錬金術師たちが突然黙り込んだ。

「……?」

 怪訝な表情を浮かべる。

「!」

 そんな彼の腕を掴む人影。

「! ドルメック?」
「いいからっ早く来いよっ」

 ドルメックはベリルの腕を掴んで、そのまま王宮の外に促した。

 外は少し暮れかけていた。淡いオレンジの光が、これから来るであろう夜を少しずつ伝えている。

「どういう事なんだよっ」

 出てすぐ、ドルメックはベリルに声を荒げた。

「つけられていたのか。私とした事が油断していた」

「わざとはぐらかしてんじゃねぇよ」
「解るか?」

 言って、目を伏せ薄く笑う。

「おかしいとは思っていたのだ。やたらと私を王都に留(とど)めようとしていたのでね」

「!」