「……」

 ドルメックは思案した。いくら寝付けなかったとはいえ、こんな朝早くにベリルたちの処に行くのもな……

「しばらく時間を潰すか」

 言いながら部屋を出た。

 おおよそ自分とは対照的な街の雰囲気に、ドルメックは顔をしかめる。

 騒がしいのと怒りもあって、寝付けなかったその心はムカムカが収まらない。

 よくもいけしゃあしゃあと俺に人質を取りやがって……今夜、取り返してやる。

 宿屋の下の食堂で朝食を済ませ、ブラブラと街中を歩く。

「……」

 困った。別段、やる事がない。

 しばらく考え込んだドルメックは、ベリルたちの泊まっている宿屋に足を向けた。

 このままだと怒りをぶつけそうで怖かったが、まあ彼らなら軽くあしらってくれるだろう。

 変な期待をする。この怒りも収めてほしかったからだ。