ドルメックは王宮から少し離れ、深い溜息を吐き出した。

 もっと冷静になれ。そんな方法を取らなくたって、盗み出せばいいじゃないか。

 核石を取り戻すため盗賊となったドルメック。仲間の事となると、いつも心が抑えられなかった。

「……ベリルのおかげかな」

 クスッと笑う。そういやあいつ、明日来いって言ってたけど。一体、何があるんだ?

 その頃、ベリルが王宮に向けて歩いていた事にドルメックは気付かないでいた。


 夜が更ける。ドラゴンが倒された初めての夜。

 街の人々は歓喜に震え、その喜びの宴は朝まで続けられた。

 騒がしい夜、ドルメックは寝付けずに朝を迎えた。

 カーテンを開くと太陽の日差しが目に刺さるほど。

「まったく。騒がしいったらないぜ」

 昨日の興奮がまだ冷めていない様子で、朝の街だというのに人々の声は大きかった。