「話が違うぞ!」

 夜遅く、王宮に怒号が響く。ドルメックは怒りに拳を握りしめた。

 仲間の核石と引き替えに、ドラゴン討伐に呼び出されたドルメック。

 しかし、約束していた数と違う。3つ足りないのだ。

「貴殿の力は王国のためになる。全て渡したとして、我々に従うかね?」

 国王の横にいた男が、ドルメックを見下すように言い放った。

「てめぇっ」

 宝玉の民たった1人の生き残りである彼を縛り付けるため、手段を選ばなかった。

「……」

 こうなれば国王に刃を突きつけて脅すか? ドルメックは短剣に手が伸びる。

「チッ」

 しばらく考えて、ドルメックは溜息を漏らし短剣から手を離した。

「また明日、話しに来る」

 言って王宮をあとにした。