「! ……え?」

「刃が欠けてしまった。それをお前に渡しておく。再び鍛え直す事が出来た時に返してくれ」

「……」

 ゆっくりと手に取った。それほど重くないハズなのに、何故かズシリと手に伝わる感覚。

「頼めるか?」
「……」

 しばらく剣を眺めていたヒイロウはベリルにニッと笑うと、

「任せとけ!」
「ひーくん壊しちゃだめだよ」
「お! カナリア色のうずら。喋ってる」

 セシエルはようやくキクの存在に気付いた。戦っている時はそれ処ではなかった。

「あ、ベリルさんのお友達ですか? 菊です、よろしく~」

 言いながら、セシエルの両手の上にピョンと飛び乗る。

「……」
「……」

 しばらく見つめ合う1人と1匹。

「か……」
「か?」

 キクは首をかしげてセシエルを見上げる。