「!」

 ベリルはふと、持っていた剣に気が付いた。

 柄の部分に紫水晶(アメジスト)が、いつの間にかはめ込まれている。

[お前に彼が残していったものだろう]
「ベリル」

 セシエルが、ドラゴンに刺さっていたベリルの剣を持ちながら駆け寄る。

 それを受け取ると、鞘(さや)に収めた。

「おっさ……ベリル!」

 頭の上からの威圧に言い直して、ヒイロウは嬉しそうに近づく。

「よくやった」
「えっへっへ~当然!」

 得意げに応えた。そんなヒイロウにベリルは背にある刀を見つめる。

「お前たち民は鍛冶もこなすと聞いているが」

 それにヒイロウはギクリとした。

「ひーくん鍛冶はからっきしなんだ」
「言うなよ!」
「なるほど」

 そう言うと、ベリルはミスリルの剣を鞘ごと取ってヒイロウに差し出した。