{グオォォー!}

 稲妻が、ベリルの突き立てた剣から体内に痛みを与える。

 クラウンが、キセル片手にニヤリと笑う。雷電の民ならではの攻撃だ。

{おのれ!}
「うわっ!?」

 クラウンに向かって吐き出される炎のブレス(息)、しかしそれは効果を得なかった。

 身を焦がす炎は、暖かなものへと変わっている。

 ものの温度を自由に変えられるサレンスが常にドラゴンの吐き出す炎を見ているのだ、効果が無いのは当然。

 地と空からの執拗(しつよう)な攻撃、ドラゴンの怒りは頂点に達する。

{薄汚いものどもがぁっ!}

 紫の瞳をギラつかせ、ベリルめがけて渾身(こんしん)のブレスを放った。

「! これはっ」

 だめだっ! この炎は制御出来ない! サレンスは息を呑んだ。