「! キル……」
「だったらこのまま見ているかね?」
「うっ」

 少年の、戦いたい衝動を見抜かれている。本心では戦える事に歓喜しているのだ。

「相変わらず素直じゃない」
「うるせー!」

 2人から離れたベリルに、地に降り立ちヴァラオムは鼻で胸元を示した。

[武器が必要だろう。それを手に取るがいい]

 それはヴァラオムを呼んだ角笛。ベリルがそれを右手に持つと、輝きを増して何かの形を創り始めた。

 輝きが失せた時、手にしていたのは剣。70cmほどの細身の剣だった。

[私の炎で鍛え上げたものだ。それはヤツのブレスをも引き裂くだろう]

 これだけの数の攻撃でドラゴンは魔法の詠唱もままならず、未だに魔法を撃つ事が出来ないでいた。

 そのため、こちらの被害が予想よりも少ないのである。

 翼、ブレス、尾の攻撃はそれぞれに対応されドラゴンは怒りの雄叫びを上げた。

{地虫ども! 我によくも!}

 もはや、ドラゴンに臆(おく)する者などいなかった。