「……」

 ベリルの瞳が一瞬、曇る。そして、目を細めて小さく笑いかけた。

「安心しろ。お前はゆっくり傷を癒せ」
「あっありがとう、ありがとう……」

 兵士は何度も礼を言うと、再び意識を失った。

 サナとベリルは外に出て、話し合った。

「持って、あと2日だと思う」
「……そうか」

 サナは目を伏せる。

「よく、ここまでたどり着いたと思うよ。自分の使命に誇りを持っていなければ、出来ない事だ」

「……」

 サナはベリルを見据えた。

「ベリル! 君が選ばれたんだろう? 受けてくれるよね」

 年下のサナはベリルを慕い尊敬している。

 常に冷静で、何ものにも揺るがない眼差し。そんな彼に憧れていた。

「彼をよろしく頼む」

 ベリルは静かにそう言って、長老の家に向かった。