「えと……」
「私はベリルという。こっちはセシエル」
「俺ジギル。こっちがキリーラよろしく」

「楽器を奏でる民だね」
「はい」と、キリーラ。
「へえ~楽器か……」

 セシエルは苦笑いで楽器を見つめた。その顔に、キリーラは首をかしげる。

「彼は楽器が苦手なのだよ」
「ほっとけ!」

 それにベリルはまた笑いをこぼした。

「どうせお前には何にも敵いませんよ」
「! 楽器、ひけるんですか?」
「ハープなら少しね」

 柔らかな笑顔をキリーラに向ける。

「フェニックス、君もどうかな?」
「えっ!?」

 後ろを馬でついていたフェニックスが突然、問いかけられて驚く。

「!」

 キリーラは、彼女の瞳にみとれた。ガラス玉のような瞳は、太陽の光でキラキラと輝いていた。

「両手に花だねぇ」