準備を済ませ戦士と兵士、それに荷物を引く者たちが王都からゆっくりと馬を進める。

 その光景を、祈りながら見つめる人や檄(げき)を飛ばす者、恋人や夫の無事を祈る人々がその列の両端にひしめき合う。

「!」

 王都を出てしばらくして、ベリルの視界の右側に若い男女が映った。その馬の背には楽器。

「ああ~緊張する……大丈夫かなぁ」
「俺とキリーラなら大丈夫だって!」

 金色の髪の少女は、同じ髪色の少年に呆れた声を出した。

「あんたね……わたしたちじゃなくて他の人の事も考えなさいよ」

「え、そういう意味だったの?」
「この脳天気は」
「ククッ」

「「!」」

 笑い声が聞こえて、2人は目を向けた。

「ああ、すまない。面白かったのでね」

 ベリルは右手を軽く上げて謝る。その顔はまだ笑っていたが。