一体、何しに来たの? この人……

「ドラゴンとの戦い。よろしく頼む」
「え、ええ……こちらこそ」

 ベリルはフェニックスの背中を優しく2度叩くと、そのまま去っていった。

「それだけ?」

 フェニックスは呆然とベリルの後ろ姿を見つめた。

「随分早かったな」

 思ったよりも早く帰ってきたベリルにセシエルが言うと、彼は目を細めた。

「ん。彼女はよい力を持っている」

 ベリルはそう言うと、周りを見回して苦い顔をした。

「翼竜がいれば良かったのだが……」
「ああ~そういやみんな逃げたらしいね」

 ドラゴンの襲撃に、手持ちの翼竜は全て逃げてしまった。

 飛べない人間には、かなり重宝する生き物なのだ。

 元々、それほど多くない翼竜を捕まえて調教するにはなかなかに苦労する。