「!」

 ベリルは、1つの家に目が留まった。そこから慌てて女性が出てきた。

 あの家は確か……そちらに足を向ける。

“シュ……”

 垂れ下がっている布を払う。

「!」
「! ベリル」

 年の頃は20歳前後の青年が、入ってきたベリルに少し笑いかける。

 が、すぐに真剣な面持ちになった。彼の脇には、息も絶え絶えの兵士が横たわっていたからだ。

「サナ、彼は」
「うん。特使の人だよ」

 焦げ茶色の髪と瞳。その可愛い顔立ちを曇らせる。

 彼は集落の中で一番のヒーラーだ。

「ここに来る途中に、ドラゴンと出会ってね……」